第2弾
第1弾
2007年9月22日
介護保険に係る指導・監査に関するアンケート
                        全国小規模多機能型居宅介護事業者連絡会

 このたびの指導・監査に関するアンケートでは、本会独自事業として緊急アンケートを実施し、会員のみならず全国の事業所に呼びかけいたしました。提出された内容としては、指導を担当する市区町村の担当部署が、指導内容を優先するあまり、介護保険が施行された背景や理念をそもそも理解せず、指導している場合があると思われます。

 以下、事業者の皆様から挙げられた声については、厚生労働省老健局計画課及び総務課介護保険指導室へ提出し、誤った解釈による指導を行っているようなものについては、指導内容の修正をお願いしました。厚労省からは「全国の介護保険指導担当者会議等の機会を通じて対応していきたい」というお話をいただきました。

事業者の皆様から寄せられた声(抜粋)

T.指導監査におけるばらつきについて

(1)人員に関する基準の解釈に関すること

[所在地] 東海・北陸地方の事業所
◎勤務実績がもっと明確に分かるようにとの事。特に自宅待機のものに関して。また、一部の者に勤務の負担が集中しないようにとのこと。

[所在地] 中国・四国地方の事業所
◎事前に提出する「勤務実績表」(勤務形態を@9:00〜18:00などとして、表にしたもの。)ですが、小規模のように勤務時間がばらばらだと、今回提出した表でも、1〜40番くらいになった。指導の当日に事業所にてタイムカードなどでチェックするのなら、事前に提出する必要があるのか?また、監査用に作るのではなく、各事業所で日々の職員の勤務形態が分かるものがあれば、勤務実績表は作らなくもいいのではないか?
事務負担についてでも再掲

[所在地] 東海・北陸地方の事業所
◎泊まりの利用がある場合の宿直者オンコール体制について。
「Q&Aというのは考え方を示唆してあるに過ぎず、ましてや追って通知改正をすると書いてあるのなら、通知改正がなされてから変更するのが正規のやり方。通知改正が出ていないのにオンコール体制にするのは時期尚早。元に戻すように。」と言われたが、最終的に指導の場では、県に確認するという事になり、後日オンコール対応で良いとの回答あり。
→上記内容は「平成18年9月4日付け、介護制度改革INFORMATION」問35で出された内容について、「『指定地域密着型サービス及び指定地域密着型介護予防サービスに関する基準について』の一部改正について」(平成18年9月19日付け、老計発第0919001号、厚生労働省老健局計画課長通知)が発出されていることを1年以上把握できていないことに端を発するものであると考える。

[所在地] 関東地方の事業所
◎通いサービスの人員配置について、通いのサービス提供時間を通じて3:1の人員配置を保つよう、市の「運営状況点検書」で指導された。
→上記内容は、「『指定地域密着型サービス及び指定地域密着型介護予防サービスに関する基準について』(平成18年3月31日付け、老計発第0331004号、厚生労働省老健局計画課長、振興課長、老人保健課長連名通知)」2人員に関する基準(1)従業者の員数等、ロの文章を誤って理解しての指導であると考える。左記通知では、日中の勤務帯と通いのサービス提供時間帯は同一のものとして捉えることにはならないと考える。

(2)設備・運営に関する基準の解釈に関すること

[所在地] 東海・北陸地方の事業所
◎介護記録を読んで、介護記録ではなく観察記録に過ぎないと言われ、専門員が読んでいるのか、読んでいるのなら、どのように指導しているのかと言われた。専門員が指導するのか?と聞いたら、実質、施設の管理・運営をしているのだから当然だと言われた。

◎金銭や物品の預かりをしているか、その際の記録、チェック方法を確認され、預かり物はフロアチーフとケアマネしか触れないようにしてあるが、チェックは預かり物に触らない人物(当施設の場合、管理者が適任と言われた)もチェックするように言われた。他施設で、後で返せばいいだろうと思って、使い込んだスタッフがいたので、そうならないようにとの事です。

[所在地] 中国・四国地方の事業所
◎サービス担当者会議や来月の計画の打合せで利用者宅にうかがったのは、「訪問(出向き)サービス」には含まないとの指摘を受けました。当然、同時に安否確認等行っていると説明し、「「安否確認」も含んでいるのなら認めます」との回答でした。市の見解としては、サービス担当者会議や計画の打合せは「訪問」としてのサービスとしては認められないとの事です。

[所在地] 東北地方の事業所
◎小規模多機能型居宅介護計画の作成について
 計画作成について、介護従業員が案を作成し介護支援専門員が確認をするという作成方法になっていた。介護支援専門員が自ら利用者の心身の状況、希望及びその置かれている環境を踏まえて、他の介護従業員と協議の上、援助の目標、当該目標を達成するための具体的なサービス内容等を記載した計画を作成するよう改めること。 とあります(運営に関する基準に書いているとおり)。
  当日もかなり、議論になったが、当然、介護支援専門員が基本的に中心になって行い、小規模多機能型居宅介護計画にケアマネの署名捺印があって、説明や最終責任も介護支援専門員が行なうことは当然である。しかし、小規模多機能型居宅介護計画を作成するプロセスは直接介護に携わっている職員全体で考え作成し、介護支援専門員も含め、協議し利用者に提案するというプロセスを説明したのだが、納得してもらえず、当日は作成者の氏名を入れてはと言われた。文章の指導では上記の結果となっています。つまり、小規模多機能型居宅介護計画においても、ケアマネが介護職員から話を聞き、介護計画を作成するようにしなさいというのだが、こういった指導ではケアプランと介護計画の違いが不明確で、介護職員のケアプランの認識も低くなると考えている。運営に関する基準の捉え方や伝え方の問題はあるかと思いますが、居宅介護計画(ケアプラン)と小規模多機能型居宅介護計画の違いもあり、小規模多機能型居宅介護計画においては、介護職員みんなで考え協議し、作成するというプロセスを残していきたいと考えています。
→指導としては間違ってはいないが、事業所のあり方を考えたときに、一人の職員(ケアマネジャー)がアセスメントからモニタリングまでを担当することが、柔軟性、即応性を特徴とする小規模多機能型居宅介護にはなじまないと考えられる。小規模多機能型居宅介護において開設前に義務付けられた「小規模多機能型サービス等計画作成担当者研修」のモデルカリキュラムでは、「チームケア」という項目もあり、ケアマネジメント本来の意味を考えれば、利用者(当事者)、家族(介護者)、ケアマネジャー、介護職、看護職等がチームとなり、利用者の暮らしを支援することが求められる。実態に即した指導、基準等の見直しが必要と考える。

[所在地] 中国・四国地方の事業所
◎医療行為について指摘を受けた。
  長期の宿泊をされた方がインシュリン皮下注射を行っていた。認知症も進み、家族が行っていた事例。その方が長期の宿泊を利用し始めたときに皮下注射を代行していた件について指摘あり。他に点滴の針を抜くのはよくないと指摘。 当事業所は単独型なので協力医療機関の看護師に夜間応援を頼むのは困難であり、当事業所の看護師が対応していた。現在は市町村担当者との話し合いの結果、非公式ではあるが黙認ということになっている。
→小規模多機能型居宅介護の人員配置について看護職員が明記されているは、まさに医療処置の必要な利用者に対して処置するためのものであり、指摘を受けたり、「黙認」という表現をされるのは理解し得ない。

◎自立に向けての支援について指摘あり。
要支援の利用者への対応について、「サービスを利用しないことが自立」という前提に基づいて指導を受けた。「サービスを受けながら自分らしく暮らしていくことが自立」という考え方もあること説明。事例として他のサービスを希望してないし、他の事業所には抵抗のある事例であることを説明し、納得は得ている。
→介護保険法自体の理念を理解していないと考えられる。

(3)介護報酬に関すること

[所在地] 東海・北陸地方の事業所
◎利用開始日がサービス利用開始日になっているかの確認。あと、口頭で、毎日利用していないのに初期加算を毎日連続して取っているのはなぜか、初期加算を2回取っている人がいるがどうしてか、指導日の直前に登録解除した方を指して、この方が今日から利用すると言われたら初期加算はどうするかと質問された。
→初期加算について誤った解釈をしていると考えられる。

U.指導監査業務に係る事務負担について

[所在地] 中国・四国地方の事業所
◎事前に提出する「勤務実績表」(勤務形態を@9:00〜18:00などとして、表にしたもの。)ですが、小規模のように勤務時間がばらばらだと、今回提出した表でも、1〜40番くらいになった。指導の日に事業所でタイムカードなどでチェックするのなら、事前に提出する必要があるのか?また、監査用に作るのではなく、各事業所で日々の職員の勤務形態が分かるものがあれば、勤務実績表は作らなくもいいのでは
ないか?

[所在地] 東海・北陸地方の事業所
◎行政、事業者、介護請求のソフト会社等で事務負担の軽減について研究ができれば、もしかして指導監査の事務負担を軽減できるソフトが開発されるのではと思います。


[所在地] 東北地方の事業所
◎外部評価と協同で行ってほしい。積極的に運営推進会議に参加し、普段から把握してほしい。


[所在地] 中国・四国地方の事業所
◎文書が整っているかということをチェックする、または指摘するということに重きを置くより、いかに地域の中でこの地域密着型サービスが根ざしていくか、よりよいものになるためには行政と事業所がどう協力していくべきかを検討する機会になればいいかと思います。

文責:全国小規模多機能型居宅介護事業者連絡会事務局